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REDEEMプロジェクトからのお礼と今後のプロジェクトについての御願い


REDEEMプロジェクト関係の皆様

この度の、東北・太平洋地震・津波に際しましては、関係の皆様から、丁寧かつ心のこもったお見舞いを頂きましたことに、まずお礼を申し上げます。幸い、私共のスタッフはすべて無事で、また、施設等の被害も軽微であったことをご報告させて頂きます。しかし、皆様ご承知のように東北一円でいまだその総数もわからないほどの死者・行方不明者を出し、その全容が把握されないほどの被害をうけた本当の意味での被災地はまだ災害直後の困難が継続しております。これに加えて、福島原子力発電所の多分人類史上空前の事故も、私共のおります仙台・東北大学から見て決して人ごとではなく日々憂慮すべき事態が続いております。私共は、無邪気に自分たちの無事をよろこぶことはできず、この震災と、それに引き続く非常事態において亡くなられた方々に深く哀悼の念を表すとともに、なお、困難な状況におかれている方々にも心よりお見舞いを申し上げます。

さて、私共がこの地震を経験したのは、REDEEMプロジェクト2010年度の実験・実習の最終日で、解剖学実習を実施している最中でした。幸い、受講者の皆さん、および、スタッフ全員無事に屋外に退避することができました。その時点では、渦中の当事者としては、これほどの大災害とは認識することができず楽観的に2−3日で社会の諸機能も復旧するかなどと思っておりましたが、その後にもたらされた長期的な混乱は皆様ご承知の通りとなりました。この過程で、社会体制、とりわけ医療体制も大混乱をきたし、救えるべき人命も相当に失われたことは関係の分野に身をおくものとしてまことに残念の極みでありました。このような事態を見聞きするにつけ、工学技術が医療の高度化を通じて人類の福祉に役立つべき領域の広さを痛感させられ、かつ、我々のなし得たことの僅かさに本当に悔しい思いをいたしました。

このような経験と反省に基づき、私共は、我が国産業社会の英知と経験の蓄積を医療分野へと導くというREDEEMプロジェクトの目標についての確信をますます深め、我が国社会を震災前の状態へ単に現状復帰させるだけではなく、さらにこれを越えて、これまでより良い社会を実現するために、微力ではありますが全力をあげてプロジェクトを推進する覚悟を固めたところです。従いまして、2011年度のREDEEMプロジェクトの事業は、来る4月9日(土)の東京出張講義を皮切りに、計画通りに実施いたします。偶々、2011年度からは、講義科目を拡充し、教育内容も飛躍的に改善する計画となっておりましたので、受講者の皆様の今後の活動にお役にたつものと信じております。皆様の受講を心からお勧めする次第です。

震災後、ネットワーク等の通信体制の復旧に手間取りまして受講受付等が滞り、皆様には大変ご迷惑をおかけしましたが、漸次、平常の事務体制に復帰しつつあります。今後のプロジェクト実施においては、これまで以上に迅速かつ丁寧に事業推進に当たることができるようにしたいと存じます。ご不明の点等はどうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。

なお、募集要項等において明記しておりますように、REDEEMプロジェクトでは、同一内容の講義を、出張講義と集中講義の両方で受講することが可能です。ところが、現下の被災状況等を考えますと、2011年夏の集中講義には予定の変更等が生じる可能性も否定できません。従いまして、本年度の受講をお申し込みいただいた皆さん、あるいは、今後申し込みをご検討頂いている皆さんには、ご都合が許せば、第1回の出張講義(4月9日(土)於東京一橋学術総合センター)からのご出席を強くお勧めいたします。お申し込みが間に合わない場合は当日のお申し込みでも結構です。

以上、皆様からお寄せ頂いたご厚情へのお礼を申し上げるとともに、REDEEMプロジェクトの今後についての私共の決意をお知らせし、これまでに倍するご支援を御願いいたしましてご挨拶とさせて頂きます。どうぞよろしく御願い申し上げます。


2011年3月31日

REDEEMプロジェクト 代表
山口隆美 (東北大学大学院医工学研究科医工学専攻教授)