よくあるご質問
- 何をするプロジェクトですか?
“医療工学技術者創成のための再教育システム”というものを作り出し、実際に教育を行うプロジェクトです。医療工学というのは、“医療を工学する”という技術分野です。
- 医療を工学するというのはどういうことですか?
これまでの医学・医療への工学の関わりかたは、“医学のための”、あるいは、“医療に奉仕する”工学でした。しかし、信じられないような医療事故が多発していることでわかるように、医学・医療には従来の知識や手法だけでは越えられない壁があります。医療工学では、最近めざましい進歩をとげた工学技術で、医学・医療を根本から変革することを目指します。
- どうやって変革するのですか?
既に、社会の第1線で最先端の技術開発にあたっている現役の技術者に、独力では取り付きにくい医学・生物学の基礎から応用までの知識を身につけてもらいます。そうすることによって、医療現場で医師などと対等の立場で協力して技術開発を行うことができる技術者が作り出されます。このような、対等で客観的な協力者が医療現場に存在することによって、始めて、医学・医療が革新されるのです。
- 誰が教育するのですか?
平成20年度に発足した、東北大学大学院医工学研究科で医療工学の研究と教育にあたっている工学系および医学系の第1線の研究者および臨床各科の医師が教育カリキュラムの作成、実際の教育にあたります。さらに、東北大学医学部のなかに、このための専用の実験・実習室を開き、机上の学習では体得できない生物学・医学の基礎を実習を通じて学びます。このために、東北大学では、平成15年度から、工学部と医学部の教授からなる医療工学人材育成委員会を結成し教育の準備を始めました。その後、5年間の文部科学省の科学技術振興調整費の援助によるプロジェクトを実施し、平成21年度からは独立のプログラムとして実施しています。
- お金はどこから出るのですか?
平成16年度(2004年度)の文部科学省科学技術振興調整費「新興人材養成プログラム」から5年間の援助を頂きました。この結果、計画の5年間では、約230名分の受講者については、無料で講義・実習などに参加してもらうことができました。平成21年度からは、医工学研究科および平成19年度発足の東北大学グローバルCOE「新世紀世界の成長焦点に築くナノ医工学拠点」の援助はありますが、自立したプログラムとなるために、受講者からは最小限度の受講料を頂いています。
- REDEEM というのはどういう意味ですか?
本プロジェクトのタイトル「医療工学技術者創成のための再教育システム」を英語で表現した “Recurrent Education for Development of Engineering Enhanced Medicine”の頭文字をとったものです。なお、 Redeem という言葉は、(人々を)“救う”という意味をもったラテン語に起源をもつ英語の単語です。
ロゴマークの詳細については、こちらをご覧下さい。
- 第1期 REDEEM の実施はどうでしたか?
平成16年度の半ばから、準備を始めて、16年度末には第1期の教育を開始しました。このためには、科学技術振興調整費の援助で教育のカリキュラムの整備、教材の作成、e-Learning のシステムの整備、さらに、動物実験を含む実習室・機材の整備などを行いました。また、広く、全国に受講者を募集し、その教育の結果をフィードバックしながら平成17年度以後の本格的な教育を実施しました。平成17年度以後は、1年間で50名ずつ、5年間合計で220名以上の受講者を養成する計画を着実に実施しました。
- 第2期 REDEEM はどのように実施されますか?
東北大学では、平成14年度には、文部科学省21世紀 COE プログラム「バイオナノテクノロジー基盤未来医工学」プログラム、そして、これに引き続き、平成19年度からは東北大学グローバルCOE「新世紀世界の成長焦点に築くナノ医工学拠点」プログラムが始まりました。また、平成20年度からは、これらの基礎にたって、我が国はじめての医工学に関する大学院の独立研究科である、医工学研究科が発足し、その社会人教育プログラムとして、REDEEM プログラムが位置づけられています。また、REDEEM プロジェクトそれ自身から、修了する受講者は、それで縁が切れるのではなく、社会に戻っても、それぞれの専門分野を通じて医療工学を発展させることが期待されていますので、OB による、「医療工学技術者生涯教育協議会(仮称)」を結成してもらい実社会での経験などを通じて得られる知識や経験をフィードバックしてもらっています。
(参考) 実施内容と今後の発展