第11回東北大学REDEEMシンポジウム 講演概要
- 講演1
- 講演2
- 講演3
- 講演4
聴覚医学と脳機能画像
川瀬 哲明 教授
(東北大学大学院医工学研究科 聴覚再建医工学研究分野)
聴覚機能の評価では、被験者の主観的判断を指標とする心理音響学的評価が重要となるが、最近は functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI)、
Positron Emission Tomography
(PET) 、脳磁図などさまざまな脳機能画像が、聴覚臨床、研究の場で用いられてきている。講演では、これら脳機能画像の聴覚医学における有用性について概説する。
自己抗体の産生源を探る
髙井 俊行 教授
(東北大学加齢医学研究所 遺伝子導入研究分野)
全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus, SLE)はBリンパ球の抑制機構が破綻し、細胞核内成分に反応する自己抗体などが病的レベルにまで増加し、 血管炎や糸球体腎炎など全身性に重篤な免疫複合体性の炎症が惹起される自己免疫疾患である。第一選択薬は強力な抗炎症・免疫抑制作用を期待してプレドニゾロンなどのいわゆるステロイドが使用される。 ステロイドの登場により生存率は著しく改善したものの、その薬理効果は特異性に乏しく、長期投与は骨粗鬆症や感染症、肥満・高脂血症などを引き起こす危険性がある。よって自己抗体を高産生する病原性Bリンパ球、 すなわち病原性プラズマセルを特異的に抑制する方法の開発が待たれる。そのためにもBリンパ球が活性化してプラズマブラストを経てプラズマセルに至る分化プロセスを基本的に理解することが不可欠である。 講演では健常人とSLE患者の末梢血中のBリンパ球やプラズマブラストに見られる特徴に関する我々の研究を紹介したい。
個別化医療支援に向けたデータ同化生体力学シミュレーション
和田 成生 教授
(大阪大学大学院基礎工学研究科 生体機械科学講座)
力学的側面からの生体現象の理解を医療に応用することがバイオメカニクスの目的の一つであるが、エビデンスを重視する医療では計測に重点が置かれ、数理モデルを使った工学的解析手法が十分に活用されていないのが現状である。 本講演では、計測データと同化・融合させる生体力学シミュレーションによる個別化医療支援の可能性と今後解決すべき課題について述べる。
ナノバイオイメージングで拓くがんや末梢動脈疾患の医学・医療研究
権田 幸祐 教授
(東北大学大学院医学系研究科 医用物理学分野)
がんや動脈硬化症の治療を効果的に行うには、疾患メカニズムを定量的に理解し、その概念を診断技術に応用することが重要です。我々は、がんや動脈硬化症を高感度・高定量性で計測可能なナノバイオイメージングの開発を目指し、 独自の光学装置、蛍光ナノ粒子、X線造影ナノ粒子などを用いて、計測技術の限界に挑んできました。本シンポジウムでは、マウスからヒトのレベルまで、ナノバイオイメージングで拓く医学・医療研究の新展開について紹介をします。