第8回東北大学REDEEMシンポジウム
講 演 概 要
■講演1
「触覚・触感に基づくQOLテクノロジーの創出」
田中 真美 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 社会医工学講座
医療福祉工学分野)
触覚は対象物との相対的な作用により得られる感覚であるため、そのメカニズムの解明ならびに体系化は困難である。また近年種々の触覚情報の取得には各情報に適した触運動があることが明らかになっている。そこで、触覚・触感に基づくQOLテクノロジーの創出として、触運動を含む触覚・触感のメカニズムの解明や体系化を目的とした触覚の基礎感覚である粗さ感と硬さ感についての調査研究、触診代替え用センサシステムの開発に関する研究、および触動作の計測研究について講演する。
■講演2
「半導体センサによるイオン・分子のイメージング」
吉信 達夫 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 計測・診断医工学講座
バイオセンシング医工学分野)
試料中に含まれる特定のイオンや分子の空間分布を可視化することは、医療応用を含むさまざまな分野で必要とされる技術であり、呈色や蛍光を用いた光学的手法がよく用いられている。一方、半導体デバイスを用いたセンサ技術は、装置の小型化や機能の複合化に有利であると期待される。本講演では、イオンや分子の濃度分布を可視化することができる半導体化学イメージセンサ技術の原理と応用について紹介する。
■講演3
「医工ものつくり人材を育成する仕組みの必要性」
谷下 一夫 名誉教授
(慶應義塾大学)
手術ロボットなどの低侵襲治療技術の出現は、正に医療技術革新であり、このような医療技術革新に、貢献できる医工ものつくり人材の育成が必要である。世界に誇るものつくりの伝統を持つ我が国では、革新的な医療技術の開発は限定的である。その原因の一つは、医療現場とものつくり現場の乖離と考えられる。医療技術革新を推進できる人材育成の課題について検討する。
■講演4
「集束超音波治療の高効率化」
梅村 晋一郎 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 治療医工学講座
波動応用ナノ医工学分野)
集束超音波治療は、数百kHzから数MHzの周波数をもつ超音波を、治療目的組織に集束して照射し、治療効果を得る治療法である。狭義には、特に、治療目的組織を超音波吸収により急速に加熱して凝固に導く治療法をさす。約20年弱前から、臨床的普及が始まり、前立腺癌や子宮筋腫の治療法のひとつとして現在に至っているが、患部を非観血的かつ選択的に治療できるという大きな特長をもつ反面、長い治療時間が欠点である。これを克服すべく、治療原理にまで遡るさまざまな研究が進められている。これらを紹介する中で、医療と工学との連携に言及する。