第6回東北大学REDEEMシンポジウム
講 演 概 要
■講演1
「レーザ治療・光バイオプシーのための中空光ファイバプローブ」
松浦 祐司 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 計測・診断医工学講座 医用光工学分野)
内視鏡下での利用が可能な、光治療・診断システムを、中空光ファイバを用いたプローブを用いることにより実現している。治療システムとしては、中空光ファイバを細径な尿管内視鏡に実装した、腎結石・尿管結石破砕のための、レーザ伝送システムを開発している。また、光バイオプシーシステムとして、内視鏡下での腫瘍診断などが可能なラマン分光用プローブおよびフーリエ赤外分光プローブを実現している。このプローブを用いて、各種の生体サンプルのラマン・赤外スペクトルを測定した結果について報告している。
■講演2
「マイクロテクノロジーを用いた先進医療機器の開発」
芳賀 洋一 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 生体機械システム医工学講座
ナノデバイス医工学研究分野)
内視鏡やカテーテルなどを用いた低侵襲医療の発展に伴い、細く小さくとも高機能・多機能な医療機器のニーズが高まっている。MEMS(微小電気機械システム)技術をはじめとした様々な精密微細加工技術を用いることで、小さくとも今までにない高機能・多機能な医療機器が実現できる。これらの新しい機器は、より安全かつ確実な診断・治療、今まで不可能だった検査・治療のほか、人体の機能解明、健康管理分野にも役立つと期待される。
■講演3
「分子イメージングとマイクロドーズ」
谷内 一彦 教授
(東北大学 大学院医学系研究科 医科学専攻 生体機能学講座 機能薬理学分野)
分子イメージングとは、生物が生きた状態のままで外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する技術である。特にPETを中心とした分子イメージングは「ものをみる」基礎技術であると同時に医用画像への発展性を有し、多様なプローブ開発により創薬プロセス、がんやアルツハイマー病の超早期・先端的診断及び治療評価などの医療応用が可能な革新的技術である。分子イメージングとその応用例であるマイクロドーズ臨床試験の最近の現状について紹介する。
■講演4
「損傷骨格筋の修復機構」
永富 良一 教授
(東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 社会医工学講座 健康維持増進医工学分野)
格筋は日常的に損傷を受けるが、衛星細胞が筋芽細胞になり損傷を修復する。運動トレーニングや筋力トレーニングの効果は少なからずこのプロセスに依存している。しかし肉離れのように筋肉内出血が起こったり、損傷が反復するとコラーゲンなどの細胞外マトリックスが増加し繊維性の変化が起こる。衛星細胞は通常は筋管をつくり、損傷が大きいときにはマトリックスを作る筋繊維芽細胞に分化する。状況の変化に応じて筋芽細胞が分化の方向を変える機構を紹介する。